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ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌前の感染診断について |
除菌前の感染診断については、
- 内視鏡検査又は造影検査において胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者
- 胃MALTリンパ腫の患者
- 特発性血小板減少性紫斑病の患者
- 早期胃癌に対する内視鏡治療後の患者
- 内視鏡検査にて胃炎の確定診断がなされた患者(2013年2月21日より)
のうち、ヘリコバクター・ピロリ感染が疑われる患者さんに対して検査を実施します。
- 診療報酬明細書(レセプト)への記載事項の追加
-
- 対象患者@(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)及びD(胃炎)において、内視鏡検査等で確定診断した際の所見・結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
- 対象患者A(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)及びD(胃炎)において、健康診断として内視鏡検査を行った場合には、診療報酬明細書(レセプト)の摘要欄にその旨を記載すること
※胃炎の患者であっても内視鏡検査よる診断が必須です!
次の6項目の検査方法のうち、1項目のみの算定が基本ですが、検査結果が陰性となった患者さんに対しては、異なる検査方法によって再度検査を実施した場合に限り、さらに1回算定できます。但し2回実施する場合、レセプトの適用欄に各々の検査法と検査結果について記載すること! |
ヘリコバクター・ピロリ菌の検査実施点数
(2006年4月現在) |
迅速ウレアーゼ試験
胃・十二指腸ファイバスコピー |
1140点 |
内視鏡下生検法 |
310点 |
迅速ウレアーゼ試験 |
60点 |
免疫学的検査判断料 |
144点 |
鏡検法
胃・十二指腸ファイバスコピー |
1140点 |
内視鏡下生検法 |
310点 |
病理組織顕微鏡検査 |
880点 |
病理学的検査判断料 |
150点 |
培養法
胃・十二指腸ファイバスコピー |
1140点 |
内視鏡下生検法 |
310点 |
細菌培養同定検査等(消化管からの検体) |
130点 |
微生物学的検査判断料 |
150点 |
抗体測定
採血料 |
13点 |
ヘリコバクター・ピロリ抗体 |
70点 |
ヘリコバクター・ピロリ抗体精密測定 |
80点 |
免疫学的検査判断料 |
144点 |
※除菌後の感染診断を目的として実施する場合、除菌終了後6ケ月以上経過しないと実施できません。かつ、除菌前の抗体測定結果との定量的な比較が可能な場合に限り算定できます。レセプトに除菌前および除菌後の抗体測定実施日、測定結果を記載しましょう。
尿素呼気試験
尿素呼気試験 |
70点 |
微生物学的検査判断料 |
150点 |
検査用薬剤(ユービットなど) |
薬剤料 |
抗原測定
糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原 |
150点 |
免疫学的検査判断料 |
144点 |
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ヘリコバクター・ピロリ除菌について |
- ヘリコバクター・ピロリ除菌の実施
- 感染診断によりヘリコバクター・ピロリ陽性であることが確認された対象
胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の患者に対し、ヘリコバクター・ピロリ除菌及び除菌の補助が薬事法上効能として承認されている薬剤を薬事法承認事項に従い、3剤併用・7日間投与し除菌治療を行います。(胃炎などでは、ヘリコバクター・ピロリ除菌が認められていません。潰瘍性病変がない場合は、自費診療となります。) - ヘリコバクター・ピロリ除菌剤の除菌に係る効能・効果
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- ランソプラゾール及びオメプラゾール
- 胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
- アモキシシリン及びクラリスマイシン
- 胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染
- Q:人間ドックの結果、ピロリ菌と言われ除菌をすすめられたそうです。
その除菌薬を当院で処方していただきたいと言われたのですが、その場合どう対処したらいいのでしょうか?
- 保険診療の場合、ピロリ菌が陽性だというだけでは除菌の適応にはならないので注意が必要です。
私のところでは、他医にてGF施行、活動性胃潰瘍あり、ピロリ菌陽性だった旨を注記しています。それで減点されたことはありません。
(回答者 てぃむさん)
- 3回目の除菌についての事例募集中!
- 2回目までは健康保険適応となっていますが、2回目を実施しても陽性になるケースもあります。
⇒3回目のピロリ菌除菌
- Q:両親がピロリ保菌者とのことで、本人の希望で内視鏡的検査施行せず、自費診療でヘリコバクターピロリ菌抗体検査をし陽性でした。
除菌を希望されていますが、この場合、除菌治療は保険適用にはならず、自費扱いでよろしいのでしょうか?
- そのまま除菌治療を開始するなら保険外になると思います。
因みに、保険診療で除菌を行うのであれば内視鏡検査などにより対象疾患であることを確認する必要があります。
「健康診断で抗体検査が陽性であった」旨を記載するのを忘れずに。
(回答者 ぽちさん)
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健康診断のオプションで「ヘリコバクター・ピロリ抗体検査」を行って陽性が出た患者の除菌 |
当院で悩ましい事例があり、厚生局に問い合わせて回答をいただいたものを報告としてUPしておきます。
健康診断のオプションで「ヘリコバクター・ピロリ抗体検査」を行って陽性の結果が出た方が受診されました。
ご本人は除菌を希望されており、保険ルールとの兼ね合いで苦慮しておりました。
当然、内視鏡検査は実施が必要なので予定していたのですが、胃潰瘍や胃炎が確定した時点で再度感染検査が必要となるかで、
担当医と私で議論していました。
まあ、うちわで議論していても始まらないということで厚生局に質問状を送ることにした次第です。
以下全文
「近頃、健康診断や人間ドックなどで「ヘリコバクター・ピロリ抗体検査」を実施するケースが見受けられます。実際「健診でピロリが陽性だったので除菌して下さい。」という要望もあります。しかしながら、健診等の段階で内視鏡検査などの画像診断を行っていない場合が多く、苦慮しております。
現行の保険診療のルールで行くと、主に内視鏡検査等の画像診断で胃潰瘍や胃炎が確定している場合にピロリ感染検査をすることとなっているので、上記のような場合には内視鏡検査等で胃潰瘍や胃炎であることを確認した後に再度ピロリ感染検査を行うべきと考えますがいかがでしょうか?ただ、医師によると「抗体検査で陽性ならば再度の感染検査は医療資源の無駄になるのでは?」と申しており、内視鏡検査で胃潰瘍や胃炎が確認できればそのまま除菌を行って問題ないのではないかとの意見も出ております。
今後、上記のように健診等で感染検査を行うケースが増加していくものと思われますので、確認のためにもと思い質問状を送付させていただきました。」
回答は
「内視鏡検査で除菌対象状態が確認できれば、そのまま除菌を行って頂いて結構です。その際、診療録に健診の結果の添付並びに診療報酬明細書に健康診断で抗体が陽性だった旨の記載が必要になります。」
とのことでした。
以上、報告おわり。
(ぽちさんより) |
ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌後の感染診断について
(除菌判定) |
除菌終了後4週間以上経過した患者さんに、上記の検査方法の内1項目のみ算定できます。(レセプトの適用欄に除菌終了年月日を記載すること!)
ただし、検査の結果ヘリコバクター・ピロリ陰性となった患者さんには、異なる検査方法で再度検査を実施した場合に限り、さらに1回算定できます。
その場合、レセプトの適用欄に各々の検査法と検査結果について記載すること!
除菌後にヘリコバクター・ピロリ陽性だった場合
再除菌に係る費用及び再除菌後の感染診断に係る費用(検査代)を、算定することができます。
- Q:十二指腸潰瘍の病名がついている患者様でヘリコバクターの検査が陽性だったため2月に除菌をしました。
3月に便の検体だけ持参され、受診はせず4月に結果を聞きに来る予定です。
この場合HPにもありましたが受診をしていないため再診料は算定できないかと思うのですが3月分のレセプトは「実日数0日の免疫学的検査判断料+糞便中ヘリコバクターピロリ抗原」だけになりますがこれでいいのでしょうか?
この場合摘要欄にはどのように記載すれば返戻されないでしょうか?
- 実日数0日の免疫学的検査判断料+糞便中ヘリコバクターピロリ抗原
で問題ないと思います。
コメントは「2月にピロリ菌の除菌を実施。除菌判定の検査のみ実施(本人受診なしで検体のみ持参)」みたいなので良いと思いますよ。
審査の方が分かればいいので・・・
- Q:除菌後判定で来院された患者さんがいるのですが、呼気試験をする予定でしたが、食事をしてきたので代わりに抗体検査をしました。
点数表だと抗体検査は除菌前と除菌後6か月に対して算定できるみたいですが、除菌前に抗体検査をした場合でないと除菌後判定での抗体検査の算定は取れないのでしょうか?
- ピロリ菌に感染していれば、ピロリ菌抗体価が高値となり、除菌が成功すれば数ヶ月で抗体価が徐々に低下するようです。
除菌の成功、不成功を判定するには、前後の抗体価を比較する必要が有ります。だから、査定されるかどうかは運次第です。
(回答者 てぃむさん)
- Q:以前、ヘリコバクター・ピロリ感染の検査は、
診断前の検査と除菌後の検査は、違う検査でなければならないと聞いたことがありました。
最近、尿素呼気試験を診断前にして、除菌後に尿素呼気試験をすると医師に言われました。
実際に同じ検査がだめという記述をみたことがないので調べているのですが、出てきません。診断前・除菌後の検査は、同じ検査をしても問題ないのでしょうか?
- 私は同じ検査がダメとは聞いたことがないです。
陰性だった場合は他のピロリ検査をもう1種類は算定できるので、そのことではないでしょうか?
以前、ピロリ菌治療のガイドラインの本で、レセプトの例が掲載されていたのですが、除菌前と除菌後に抗体検査した場合両方の数値を記載すると書いてあったので同じ検査でも問題はないのではないでしょうか。
当院では、除菌前は迅速ウレアーゼか抗体検査、除菌後は尿素呼気試験か抗体検査か便で検査することが多いです。
参考にならなくてすいません。
(回答者 まりさん)
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除菌治療後の潰瘍治療について |
除菌終了後は、通常通り潰瘍治療を行って差し支えはありません。
例えば、ランソプラゾールは、胃潰瘍治療の場合は8週間、十二指腸潰瘍治療の場合は6週間の投与が可能ですが、除菌治療期間(7日間)は、この投与期間とは別に投与できます。 |
潰瘍治療中の患者に対するピロリ菌感染診断検査 |
胃潰瘍などで治療中の患者に対して、感染診断検査を行うことは、保険適用可能です。
ただし、ランソプラゾールなどの静菌作用を持つ薬剤を投与している患者については、当該薬剤中止または終了後4週間以上経過した後に感染診断を行うことが必要です。
- Q:胃潰瘍で『タケプロン』を服用中の患者さんに、ピロリ菌の便検査(結果は陽性)をしました。この場合、算定できるのでしょうか?
- 「ランソプラゾールなどの静菌作用を持つ薬剤を投与している患者については、当該薬剤中止または終了後4週間以上経過した後に感染診断を行うことが必要」とされている理由は、ピロリ菌に感染しているのに、静菌作用を持つ薬剤を服用している場合、検査結果が「陰性」となるケースがあるからです。
- したがって、タケプロン服用中にピロリ感染診断を行って「陽性」となった場合は、特に問題ありません。
- しかし、今後は「静菌作用を持つ薬剤を投与している患者については、当該薬剤中止または終了後4週間以上経過した後に感染診断を行う」ことを忘れないように注意しましょう!
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内視鏡下生検法で検体を採取した時 |
ヘリコバクター・ピロリ感染診断を目的に、内視鏡下生検法を行った際に、悪性腫瘍が疑われるポリープが見つかることもありますよね。
同時に、ピロリ感染診断と併せて、悪性腫瘍の診断を目的に病理検査を行った場合の算定方法です。
- ピロリ感染診断、悪性腫瘍診断の両方を鏡検法により行った場合
- 内視鏡下生検法+病理組織顕微鏡検査のみ算定
- ピロリ感染診断は培養法により、悪性腫瘍診断は鏡検法により行った場合
- 内視鏡下生検法+病理組織顕微鏡検査(悪性腫瘍診断目的)+培養検査の算定
- ピロリ感染診断は迅速ウレアーゼ試験により、悪性腫瘍診断は鏡検法により行った場合
- 内視鏡下生検法+病理組織顕微鏡検査(悪性腫瘍診断目的)+迅速ウレアーゼ試験の算定
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ヘリコバクター・ピロリ感染診断についての質問(2013年2月21日までの分) |
- Q:尿素呼気試験に使用する呼気採取用バックの費用は算定可能でしょうか?
- メーカーに問い合わせたところ返答をいただきました。
「呼気バッグの料金を別途請求することはできません。バッグの料金120円(前後2回分)は検査の保険点数70点の中に包括されています。」
尿素呼気試験に使用する呼気バックは別途請求不可です。
(回答者 ぽちさん)
- Q:胃潰瘍病名ありで、ヘリコバクターピロリ検査の為、内視鏡下生検法、T−M(病理組織顕微鏡検査)をしていますが、迅速ウレアーゼもしたとの事。その場合、迅速ウレアーゼも一緒に算定して可能ですか?
- 『生検法およびT-Mは悪性腫瘍診断のため、迅速ウレアーゼはヘリコバクターピロリ菌感染の有無を確認するため』というコメントと、早期胃癌疑いという病名をつければいけるのではないでしょうか?
(回答者 エコポイントさん)
- Q:潰瘍のない方のヘリコバクターピロリ菌の除菌について、皆さんはどのように算定しているか教えてください。
当院では、自費での除菌を患者さんにお勧めしています。 しかし、自費での除菌なので何かとトラブルが起きることが多くて・・・
参考に皆さんはどうやって対応しているのか教えてください。
- もともと、ヘリコバクターピロリの検査は、胃潰瘍とヘリコバクターピロリ感染症疑いがあってされたのではないのでしょうか?
検査じたいも自費なのでしょうか? 地域差があるやもしれませんが、私のところでは、先にあげた2点の病名にて検査をしますので、潰瘍がない?というのが良く分かりません。 ですから、ピロリ菌が検出され除菌を行うときも、自費で行ったことはないのですが・・・・?!
お尋ねのお答えになっていなければすみません。
(回答者 シュレックさん)
ヘリコバクターピロリ菌の除菌及び感染検査は「内視鏡検査などで確認された胃潰瘍又は十二指腸潰瘍が確定している患者」が健康保険適応です。
それ以外の患者への検査及び除菌治療は健康保険適応外です。
潰瘍がなくてもヘリコバクターピロリ菌に感染していることはあります。
「ヘリコバクター・ピロリ胃炎」という標準病名もあります。
しかし、前述の患者以外は健康保険からの給付対象外です。
全て自由診療で行うしかないと思われます。
昔は胃潰瘍患者の除菌も健康保険の対象外だったんですから。
(回答者 ぽちさん)
- Q:今月のレセで当院で初めてピロリ菌の再検査の方がいます。
今までは初回で除菌完了になる方ばかりで、医科点を読んでも自分の解釈に自信が持てないので教えてください。
再検査の場合はレセに除菌完了日コメント以外に何か「前回陽性の旨」や「再検査」等のコメントは必要なのでしょうか??
今月は前回と違う種類の除菌薬を投薬で来月また呼気試験実施予定です。(当院に来院される方はみんな他医にてピロリ確定診断された方ばかりです)
- 当院では「二次除菌」である旨を記載しています。
つまり、1回目は失敗だったので2回目の除菌ですということを記載するわけです。
メトロニダゾールなどは二次除菌にしか適応が無いはずなので書いておいたほうが無難でしょう。 (回答者 ぽちさん)
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ヘリコバクター・ピロリ感染診断についての質問(2013年2月21日以降の分) |